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第14回是正処置WS

11月20日、東京・無風流道場で開催された是正処置ワークショップ(WS)に参加しました。個人的に関心を持ったところのみを書きます。

某組織の総合(統合ではない)マネジメントシステムの紹介がありました。最近受けられた外部の方の参加による内部監査で、ある外部監査員から「目標管理はかなりできておられるが、現場の仕事を良くする仕組みはいまひとつ・・・」という感想が出たそうです。これと関連して、ご自身は内部監査について、「PDCAを追っかける」ことから「プロセスの診断」へという方向性を考えておられます。

某自動車関連組織の方のプレゼンでは、強烈なグローバル二者監査基準に準拠しつつ、自主的に自社の「あるべき姿」を実現していくにはどうすればいいのか、というプレゼンをされ、圧巻でした。もう少し個人的に話を聞きたくて、WS後の懇親会でじっくり話をうかがうと、「顧客の言うことだけを聞いていては、生きていけない」のだそうです。それに、顧客の言うことだけをサプライヤーが聞いていると、顧客自身も結局困ることになる。「顧客も我々(サプライヤー)の提案を求めている」とのこと。

ISO 9001の2000年版の規格作成審議で、「改善」の要求事項を入れることを強硬に主張したのは、当時のビッグスリーだったと聞いています。それが、私には不思議でした。顧客にとっては、自社の要求をきちんと守るように要求するQA規格だけで十分ではないかと。そのためにQS-9000やTS 16949を作ったのだろう。なのに、なんでISO 9001の世界に口を出してきて、「改善」を導入させ、それを後でTS 16949に内包させたのか。QAに内蔵されたQMSの意図は何なのか? WS後の懇親会で芋焼酎を飲みながら「ああ、そういうことか! 顧客の言うことを聞くだけのサプライヤーでは、結局、顧客自身も困ることになるからなんだ」と(今頃!)一人合点をした次第。

次のプレゼンは、お悩み相談。内部監査を控えた某企業の管理責任者の方が、ベテランの内部監査員を使う予定にしていたところ、その方々が定年を過ぎて継続雇用された社員だったので、社長が「あいつを内部監査に使うのはどうも」と渋っているという話。その会社では、これからもベテランの内部監査員が定年を迎えるので、これは大変な問題。一筋縄ではいかない問題だし、そのほかにもこの会社はたくさん問題を抱えていそうなので、一度、某氏が相談に行くことになるかも。

最後は、ある業界団体のQMS研究会での会合の話。ここでは、どうも10年間くらい時間が止まっていたかのような議論が行われているようです。どのような問題が、いつの時代に議論され、どのような結論が出ているかというような時系列な整理もしておく必要があるなあ、と思いました。
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第13回是正処置WS

審査道無風流主催の第13回是正処置ワークショップ(WS)に久しぶりに参加。今回は主に「監査所見の評価研究」について議論された。題材は、え゛...iso??さんが自組織の内部監査の所見に対する評価表。これをもとに、ほぼ終日議論を行った。参加者は家元さん、師範さん、え゛...iso??さん、しょうさん、中尾の5人。

え゛...iso??さんのところの内部監査は、毎年7月にP(Plan)、10月にD(Do)、2月にA(Act)焦点を当てて実施している。今回の題材となった監査所見の評価表は、7月に実施されたPlan監査で内部監査員が示した監査証拠とコメントに対し、監査事務局が自組織の評価基準に基づいて点数評価を行った一覧と、被監査部署からの監査所見に対する意見・要望や、監査事務局からのアドバイス・コメントも
併せて掲載している。

評価項目の中でユニークなのは「チャレンジ項目(問題事象の発見にとどまらず、問題をPDCAの流れの中でとらえているか、など)」。さすがにこの項目で「良」(良・可・不可の3段階評価)の評価はなく、「可」が2件のみ(評価対象96件中)だったが、このようなことができる内部監査はすごいと思う。

議論の中で印象に残った会話。

家元さん:「え゛...iso??さんの組織は、"要するにできたのか・できなかったのか"という『マルバツ文化』が強いと感じていたので、、従業員がどのようにして心の安らぎを得られるのかと思っていたが、このような段階的なプロセス評価では従業員の気持ちも変わってくるのでは」

え゛...iso??さん:「従業員の監査では『未達成』という結果を咎めるのではなく、目標が達成のためのプログラムに具体化されているか、そのプログラムが計画通り実施されているかという『プロセス』を、監査員と一緒に考えるのだというように従業員に受けとめてもらえると楽になると思う。目標レベルでの必要性は分かっていると思うが、それを具体化するプロセスについては理解していない場合がある。だから、監査の時に、どこのプロセスが問題になっているかを一緒に見ていけるといい」

師範さん:「監査で個々の現象をバラバラで見ていても、それをプロセスとして組み上げていかなければならない。最終的にプロセス監査の報告書ができていることが重要だ」

ここでプロセス監査のためのツールの話題として、AIAGのガイダンスマニュアルに記載されている、プロセスアプローチ、タートルモデル、オクトパスモデルを提示しながら、家元さんが解説。特に最近、やたら単行本や雑誌に掲載されるタートルモデルに対して、批判的な意見が出る。

師範さん:「タートルモデルは内容をよく理解しないまま、使用されている場合が多い。監査の準備段階として使うには、いいツールだと思うのだが」

え゛...iso??さん:「優れたモデルだとは思うが、我々の組織・事業の規模・状況や内部監査のレベルでは使いこなせない。また、一般論になるが、このような『モデル』を導入することで、モデルを使うこと自体が目標となる危険性があるように思う」

ここで、話がISO 10002(苦情対応マネジメントシステム規格)に飛ぶ。家元さんが最近ISO 10002のプライベート認証の案件が増えていると報告。
え゛...iso??さんは、うちとしてはISO対応レベルの仕組みは構築しておきたいが、認証を取ろうとは思わない、認証を取得するのは、組織の側に、ISO 10002レベルの顧客苦情対応は実施できているということの保証を得るという「保険」の意味があるのかもしれないと述べ、「そういえば、ある消費者団体が企業対応を調べるアンケート調査を行っており、そのアンケート項目の中に『ISO 10002対応をしているか?』というのがあった」と述べた。

家元さんが雑談ついでに、クライスラーが6月に発行したサプライヤー向けの要求事項の文書には、ISO 14001ベースの固有要求事項が付加されていると報告(
Chrysler-specific requirements for ISO 14001)。午前の部はここで終了。

午後の最初の話題は、仕事に対する姿勢の問題。

家元さん:「例えば、マネジメントシステムを構築する場合、あれこれの本の解説や他の組織の実践をそのまま引っ張ってくるタイプ(一方的に教わろうとするタイプ)の人と、そうではなくて自分で問題を考えて、そこから発展させようとするタイプの人がいる」

え゛...iso??さん:「システムの形式を整えるのが『仕事』なのか、そのシステムで成果をあげるのが『仕事』なのか、という発想の違いがあるように思う。目標型のマネジメントの場合、どのような『美しい』システムを構築しようが、そのことで目標を達成できなければ何の価値もない。しかし、目標達成を支援するリスクマネジメントの場合、その仕組みを作ったことで免罪されている文化がある。例えば、現在事業継続マネジメントシステムを構築中だが、『大地震が発生することはよもやあるまい』というのが事務局の本音だったりする。また、万が一地震が発生しても『想定外の大きさでした』で許してもらえるだろうなどという甘えもある。このような中でプロセスやシステム構築が自己目的化することの弊害は大きいと思う。しかし、一方で、成果をあげることのみでプロセス・システムを考慮しない『偏った目標志向』も問題であり、組織には、目標型マネジメント(よいことをする仕事)とリスクマネジメント(悪いことを防ぐ仕事)の双方が必要ではないか。人間もそう。リーダー型のタイプとスタッフ型のタイプがある。その両方を兼ね備えているほうが、もちろんいいのだが」

師範さん:「あなたの場合は、どうだったのか」

え゛...iso??さん:「ISO 14001に取り組む時に、他社がやっているからとか、とにかく認証が欲しいからとかではなくて、ISOを使って環境活動をやると、顧客や従業員にとってこれだけいいことがある ・・・ そんなシステムをつくることを励みにしてやろうと自分なりに『目標』を設定した。目的・目標を明確にして、そのためにISOをツールとして使っていこうという意志がないと、使えないと思う」

師範さん:「私が工場にいた頃は、それまでのQMSがまったく役に立たないと思っていたので、自分がQMSを担当するようになってからは、まず『
実際に使えるものにしよう』と考えた。規格を理解し、やれているところとやれていないところを照らし合わせるというギャップ分析をやった」

え"...iso??さん:「要は、課題とどう向き合うかだと思う。上から構築するよう指示されたから構築するという向き合い方なのか、システムを使って会社をよくしたい、現場を楽にしたいという視点でシステムを見るのか」

師範さん:「自分で課題を拾ってくる。すると、すぐに次の課題も見つかる」

ようやくここで本論に戻る。WSのメインメンバーである道友さんが今回は欠席のため議論ができなかったのだが、道友さんが掲げている次のテーマとして「是正処置のぐっど・えぎざんぷるとは? 良い是正処置の事例から成功のポイントを抽出する」というのがある。そこで、家元さんが、
え゛...iso??さんに「ぐっど・えぐざんぷる」として、今回の所見の評価システムを生かした「是正処置の評価システム」を構築・運用することを提案。「是正力を強化し、再発防止ができる組織にするというのは、当社の経営テーマでもあるので、やってみたい」と快諾。ここで言う「是正処置の評価システム」とは、以下の是正処置プロセスについて、ちゃんとできているかをレビューするもの。ただし、所見の評価システムは成果物としての所見の「製品検査」であるが、是正処置評価システムは是正処置プロセスの評価システムでもあるため、工夫が必要となる。


【是正処置プロセス】

1.問題の発生
2.問題の把握、認識
3.是正処置の必要性の評価

再発の可能性、影響、対策費用の見積もり

4.発生状況の調査

手順、想定の内・外

5.原因の究明

発生原因
流出原因
6.再発対策
対策案の検討と選択
7.再発防止効果、費用対効果


え゛...iso??さんのところの監査所見の評価表は、マネージャーからも評価されているという。

え゛...iso??さん:「事務局の顧客(事務局が構築・維持するシステムの顧客)はマネージャーだ。事務局は現場に対して、『あれやってください。これやってくださいとセールスはするが、マーケティングをしていない場合が多い。事務局は味方を増やさなければならない。味方を増やすためには、相手に関心を持つことが必要になる」

師範:「自分が相手に関心を持つと、相手も自分に関心をもってくれる」

え゛...iso??さん:「味方を増やす努力もしていないのに、『トップがわかってくれないとか言っているうちはダメですね」

ここで、遠方から来ておられる、
え゛...iso??さんはお帰りに。事務局論は継続論議。

中尾:「アイソスでこの間、『三代目事務局の時代
という特集をやって、多くの事務局の方に寄稿してもらったが、先代事務局に対する評価が非常に低い原稿が散見された」

師範:「認証を取るために取り組んだ事務局が多かったからでは? 私もA級戦犯なんて言い方してるけど(笑)」

しょう:「私は、事務局は最終的にはいらないと思う。長年事務局をやっている人は、みんな最終的には自分が過去に作ったシステムは壊して変えたいと思っているのではないか。ただ、実際にはなかなかそれができない。現場では、『今のままでいい
という気持ちが強いからだ」

師範:「いそいそフォーラムで長年事務局をやっている人は、みんなそう思っているのではないか。ただ、事務局がなくなっても、規格が分かる人が組織に1人は必要。それは管理責任者がやればいい。日本では管理責任者は単なるお飾りになっている」

このあとは、ビールを飲みながらの懇親会モード。なので、覚えていない。
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机上の空論

10月3日に東京・無風流道場で是正処置ワークショップが開催され、そこで小生が「机上の空論」というタイトルで10分程度発表した内容を下記に紹介します(表紙の絵は本日添付したものです)。人や組織がコミュニケーションする場合は他者が、商売という範疇で考えるなら顧客が、外的基準になるわけですが、そちらを見ずに、自分の考え方や自社利益のみで、つまり内的基準のみで考えるのはマズイのではないか、というオチです。

題材には、池谷裕二氏の著書『単純な脳、複雑な「私」』、小林秀雄氏の講演『人参』(『新潮CD 小林秀雄講演第一巻 文学の雑感
』に収容)、9月16日付の本ブログに対する、とある事務局担当者さんとGAIさんのコメントを使いました。

ただ、とある事務局担当者さんとGAIさんからは掲載合意を得ていないので、両氏に関連する部分のスライドは削除しました。

私のプレゼンを実際に聞くよりも、このパワーポイント画像を見るほうが、たぶんおもしろいと思います。また、このような「スライドのYouTube版」ともいうべき slideshare というサイトをまだご存じない方にはぜひ紹介したいと思って掲載しました。

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「目標未達」だからといって、ISO審査で「不適合」を受けることはない。
「パフォーマンス審査ではなくて、システム審査なんだから、それは当然でしょ?」と皆さん思いますよね。では、「目標未達なのに是正処置をしなかった場合」はいかがでしょうか?

5月に東京で開催された「第8回是正処置ワークショップ」(審査道無風流主催)で、この問題に対して興味深い議論が交わされましたのでご紹介しましょう。会話に出てくる人物で、Aさんは審査員として、その他の方々は組織側の人間として発言しています。


A:「みなさんの組織では、目標を達成しなかった時に、是正処置をやりますか?」

B:「品質目標の未達成というのは、自分たちで決めたことに対する不適合だから、うちでは当然是正処置の対象です」

C:「私の会社では、品質目標が達成できなかった時は『どうして達成できなかったのか?』という問いかけを是正処置の中でやっています」

D:「うちも目標未達は不適合にしています。目標未達が明らかになった場合は、何らかのアクションを起こします」

E:「私が以前いたゼネコンでは、品質目標でも環境目標でも、未達だからといって是正処置をかけたりはしませんでした。ですが、その部署のマネージャーが、問題の発生頻度や顧客への影響度の大きさなどを考慮して、「これは再発防止をかけないとまずい」と判断した場合は是正処置をかけます。ですから、目標未達だから何が何でも是正処置をかけるというわけではないのです」

C:「ISO 9001では『品質目標をずっと追いかけろ』というふうに(と要求しているように)読めるのではないですか」

B:「8.2.3から、そう考えることはできるのではないでしょうか。明確には書いていませんが。(「計画どおりの結果が達成できない場合には、適切に、修正及び是正処置をとらなければならない」 8.2.3から抜粋)」

A:「ISO 9001の5.4.1の『品質目標』には『達成度が判定可能』とは書いていますが、『達成度を判定しろ』とは書いていない。あるいは、5.6.1の『マネジメントレビューへのインプット』にすら、そう書いていない。『マネジメントレビュー
には、『経営者は目標達成度をみろ』とは書いていないのです」

F:「すると審査員は、目標未達に対して是正処置をやっていなくても不適合とはしないのですね」

A:「しないですね」
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第8回是正処置WS

482-WS8-thumb-200x120.jpg5月23日午前10時から午後6時半まで、審査道無風流主催による第8回是正処置ワークショップ(WS)が東京の無風流道場で開催され、主催者を含め13人が参加。今回のテーマは「是正処置・改善活動の入口と出口」である。「入口」というのは、問題を特定し、まず応急処置(封じ込め処置)し、それから是正処置を行うまでで、「出口」は、是正処置後の維持確認・検証を意味する。午前中は「出口」、午後からは「入口」に関するプレゼンや議論が行われた。

午前中のテーマは2つ。1つは、知見を一般化する方法としての「水平展開」について。もう1つは、是正処置の在り方を職場の生々しい事例で確認する方法について。WSの議論ではこの両方を併用するのが良さそうだという結論に至った。

【水平展開】
A部署で是正処置をすると、その部署だけでなく他の部署でもその知見を水平展開したい。しかし、A部署の事例をそのままB部署へコピーしても、B部署でうまく機能する確率は低い。職場が異なるとなぜうまくいかないかというと、4M(Men/人、Machine/機械、Material/材料、Method/方法)の違いもあるし、職場の意地もあるなど、要因は様々だ。そういった職場ごとの個別要因を乗り越えて水平展開を行うには、まずA職場の事例を、因果・知見・原理・原則といったものに抽象化し、それを個別に再構築して具体的な形(例えば手順)で各職場に適用していかなければならない。このような事例を抽象化して一般的な知見に変換する作業は、職場でよく使われる用語で言えば「規格化」「標準化」が該当する。この作業は非常に難しい。どうやればうまくできるのかを議論したが、答えが出ないままに終わった。 しかし、我々は、そういう作業ができる人を見分けることができる。「あのマネージャーなら、他の部署に行っても、これまでの経験を生かせるだろう」と思える人がいる。つまり、抽象化から個別化への展開ができる人というのは判定可能なのだ。そういう人を適材適所に配置することで、組織の改善力を向上させることはできる。だったら、まず人の力量にスポットを当ててみよう。人の是正力/改善力を見える化する仕組みとして「是正(改善)能力検定」に取り組むというのはどうだろうか。そこで「是正(改善)能力検定」が次回以降の課題として提案された。

【事例紹介など】
前述したような、事例を抽象化する作業も重要であるが、一方で具体的な事例そのものを取り上げ、問題の特定から是正処置の実施・維持までをどのようにやっているかを再確認する作業も必要である。この両方の作業を併用したほうが良い。WSでは、具体的な生の事例が発表された。このあと、前回のWSで紹介された「Is/Is not 分析」を使った半導体業界の事例(パッド着色問題)が主催者から紹介された。これは前回、参加者から「実際の事例が見たい」という要望があったことに応えたものである。

【大野耐一氏の思想を切り口に議論】
午後の部。冒頭に、日本科学技術連盟主催の「ISO推進者会議」に参加した人からの報告が行われた。続いて、是正処置・改善活動の入口側(問題特定から是正処置の実施・効果確認まで)に関するテーマで議論を開始。主催者側が大野耐一氏(トヨタ自動車元副社長、トヨタ生産方式を体系化した人物、1990年没)の思想を紹介しながら、同氏の残したキーワードを元に、是正処置の優先順位はどうするのか、是正処置の引き金にはどんなものがあるか、是正処置活動のどこまでを入口でやるのか、などについてディスカッションを行った。その中で特に議論が盛り上がったのは、「目標未達の場合、是正処置はやっているか?」「目標未達で是正処置をやらなかった場合、審査では不適合か?」というテーマだった。

【目標未達と是正処置】
この議論の中で興味深かったのは、「目標未達なのに是正処置をしなかった組織は、審査で不適合になるか?」という問いかけを主催者がしたところ、組織側の参加者からは「『8.2.3 プロセスの監視及び測定』から、目標未達の場合は是正処置をしなければならないと読むことができるのでは?」という意見が出たことだ。これに対して参加者の審査員から「ISO 9001には、『達成度が判定可能』(5.4.1 品質目標)という要求はあるが、『達成度を判定しなければならない』という要求は書かれていない。『5.6.3 マネジメントレビューへのインプット』にも『経営者は目標達成度をみなければならない』とは書いていない。また、『8.2.3』の『計画どおりの結果』イコール『目標の達成』ではない。大雑把に言うと『プロセス』というのは『活動』のことだから、『プロセスの監視及び測定』というのは、『活動』そのものを見張っているということなのだから」との回答があった。

【どこまで入口でやるのか】
最後に、「是正処置・改善活動のどこまでを入口でやるか」について、参加者 が事例を提供する中で議論を行った。提示されたのは、車のリコール対策の事例、ある職場の再発防止事例、第三者審査の指摘事例、内部監査の取り組み事例の4つ。盛りだくさんな事例発表で、ディスカッションも盛り上がった。午後6時半でWSは終了したものの、このあとの懇親会でも議論は続いた。
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第7回是正処置WS

391-090228WS-thumb-200x134.jpg2月28日、午前10時から午後6時まで、第7回是正処置ワークショップ(WS)が東京の審査道無風流道場で開催され、主催者側を含め14人が参加した。最初のプレゼンターは道友さんで、午前中は「真因追究技法 なぜなぜ解析の研究」、午後の前半は「重点指向型監査の可能性」がテーマ。午後の後半ではDさんが「下水道工事現場における是正処置の事例」について発表。最後に家元さんが審査での不適合事例をもとに、よりよい是正処置を出してもらうためにはどのような指摘をすべきかについて参加者から意見を募った。

まず道友さんは大手自動車メーカーのなぜなぜ解析や問題解決の手法を紹介、「真因」に至るまでなぜなぜを繰り返すという基本的なスタンスは同じであるが、精神論的であり、結構当たり前のことが書いてあって、具体的な対策としてはあまり参考にはならない。

そこで飛び入りでGAIさんが登場。そもそも不適合をシステムの問題として捉えられていないので、是正処置がきちんとできないのではないかということで、自社の教育資料を披露。たとえば、測定機器の校正ラベルの有効期限が切れていたという事象が見つかった時、「有効期限が切れていたのに、使用していた」という指摘事項が書かれる場合がある。これは、客観的証拠を書いたに過ぎない。このような指摘をされると、「じゃあ、正しい校正ラベルを貼ればいいんだ」という修正で終わってしまう可能性が高い。なので、この場合は「校正におけるゲージ回収システムが効果的に運用されていない」などといった、システムの問題として記述しなければ、システムに対して是正処置が行われない。このように、ある事象を例題として出し、それに対して不適合事項を書かせ、それがシステムの問題として記述されているかどうかをチェックするという演習を、社内の内部監査員教育・訓練でやっているとのこと。

午後に入り、道友さんは2番目のテーマである「重点指向型監査の可能性」についてプレゼン。監査の3タイプを挙げ、「ルール順守確認/防衛型」では、適合性(監査基準の理解が必要)が、「改善の機会発見/攻撃型」では、有効性(監査技術が必要)が、「問題解決/介入・制圧型」では改善プロセス(真因解析という高度な監査技術が必要)が、それぞれ重点項目となる。この中で、ISO規格への適合性確認は「ルール順守/防衛型」のレベルに位置し、これについては審査機関の定期審査に委ねればよいとした。このあと、重点指向型監査の例と課題についても言及した。

続いて、Dさんのプレゼン。土木業界出身のDさんによると、土木の世界で「是正」というと、みんなが頭に思い浮かべるのは役所から出される「是正勧告書」であり、「是正する」とは「応急処置をする・修正する」の意味なので、ISOでいう「是正処置」を組織に定着させるのには苦労したそうだ。WSでは、下水道工事における電柱沈下・道路陥没の事故の事例を紹介し、そこでその工事を請け負った組織がどのように是正処置を行ったかを紹介した。事故が発生してから再掘推施工計画書及び是正処置報告書が出るまで1カ月を要したが、真因解決には至らなかった。

設計者がミスをし、施工者もそのミスに気づく機会を得ながら工事を開始し、事故を発生させてしまった。残念ながら、今回の是正は、施工者の施工管理上の是正処置(再発防止処置)にとどまっている。設計と施工が分離発注される公共工事においては、設計に対する是正処置(再発防止処置)が実施されにくい。このあたりが公共工事の大変なところである。

最後に家元さんが、自分が審査で出した指摘事項を、受審組織が特定できない形にして披露。指摘後に出てきた組織側の是正処置が通り一遍の「修正」に過ぎなかったので、もっと良い指摘の仕方がないかを参加者に問いかけた。「受審組織とのやり取りが何度もできるなら、少しずつ本来の是正とはどういうものかを相手に認識してもらうこともできるのだが」といった意見が出たが、一発勝負である審査のむずかしさと限界を一同感じたまま、閉会となった。

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第6回是正処置WS

309-IMG_0212.jpg本日、午前10時から午後5時まで、第6回是正処置ワークショップ(WS)が東京の審査道無風流道場で開催された。今回の参加者は13人(開催時の人数)で、プレゼンターは家元さん、道友さん、Oさん、エビデンスさん。

冒頭、家元さんは主催者側として、これまでのWSのおさらいを行った。是正処置の不得手な会社が多く、彼らはその不得手を意識していないと指摘。不得手な会社の特徴を家元さんが列挙すると、フロアーも意見を述べて項目をどんどん補足した。たとえば、家元さんが不具合の原因を「人のせいにする」のが特徴と述べると、フロアーからは「内部監査のせいにする」(前回の内部監査で指摘されなかったから、対応しなかった)とか、「手順書のせいにする」(手順書に書いていなかったから、やらなかった)といった意見が出た。続いて家元さんは、問題発生から対策実施までのフローを図で解説。このフローは大雑把に言えば、仕事→問題発生→問題の定義・特定→原因の調査・特定→対策の立案→対策の実施となり、前回のWSの後半で扱った「家出息子の帰還」は、このフローで言えば「問題の特定」が主題だったが、今回は「問題の定義・特定→問題の調査・特定」における有効なツールとして、Is/Is Not分析を取り上げたいとした。

午後の部。道友さんは、猪原正守氏、久米均氏、中條武志氏(←PDF)の3人それぞれのT型マトリクスによるQMS出来映え評価方法の図を紹介した。これはたとえば、図の右側には本来どのステップで不具合を検出すべきかが書かれており、左側には実際にはどのステップで不具合が検出されたのかが書かれている。右側の仕組みの完成度に対し、左側の結果でどこまで実績が出ているかを見るというもの。どの工程で作り込まなければならないのかを探るツールとして有効ではないかとしている。

道友さんは続いて、前回のWSでも紹介されたIs/Is Not分析をさらに詳細に紹介。たとえば、前回のWSにおいて、「家出息子の帰還」の演習でなぜなぜ分析を行ったが、いきなりやるとなかなかうまく書けないことを参加者は体験した。やはり、なぜなぜ分析の前提となるプロセスを踏まえたほうが、うまく書ける。そのため、道友さんは8つのステップを紹介。それは、0.問題の特定、1.現状把握、2.違いと変化点、3.変化点の整理、4。考えられる原因・理論の列挙(検証方法を含む)、5.Is/Is Not テスト(列挙した理論とIs/Is Notの特徴)、6.原因(問題発生メカニズム)の絞り込み、7.なぜなぜ分析、というもの。参加者からは、Is/Is Not分析を実際に適用してみたい、あるいは適用した事例を知りたいという要望が出た。

次に、OさんはISO 10002:2004(品質マネジメントー顧客満足
組織における苦情対応のための指針)の特徴と規格解説を行った。同規格は認証用の仕様ではないが、この規格を使って、自己宣言を行ったり、第三者機関から意見書を出してもらったり、審査を受けたりしている組織が、Oさんが調べた範囲では52社あるとのこと。

最後はエビデンスさんが、ヒューマン・エラーの中の重要な問題の1つである「失念」についてプレゼン。「失念」とは「必要な時に、必要な記憶が出てこないこと」である。人間は、自分が行う作業をいくつかのプロセスに分け、本能的にどれが一番重要なプロセスかを自分なりに決めているもので、その重要なプロセスのことを「メイン作業」という。失念というのは、このメイン作業の前後に起きるそうだ。なので、失念の原因を探るときは、メイン作業の前後の作業の中から「〜にくい」部分を徹底的に洗い出すことが重要である。たとえば、「見にくい」「分かりにくい」「取りにくい」「動きにくい」など。その「〜にくい」部分を改善し、改善後にルールを制定し、その新ルールを教育するという手順で、「失念」の再発防止を徹底すべきであるとしている。

私の感想を一言。「是正処置WS」では、プレゼンターが是正処置に関連するテーマで何かを語り、その話の流れに沿ったトピックとして、フロアーがどんどん自分の意見を発表していくのであるが、プレゼンターよりむしろフロアーのほうがしゃべっている時間は長い。たとえば、プレゼンターがある事例を発表すると、数人がすかさず、それに関連した自分の経験事例を発表して補足する。なので、1人のプレゼンターが発表し終わった頃には、数人分のプレゼンテーションが行われたのと同じくらいの成果物ができあがっているわけである。これはなかなかスゴイことだと思う。
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第5回是正処置WS

10月18日午前10時半からアムシック(コンサルタント会社、東京都葛飾区)の事務所で開催された審査道無風流(家元・日吉信晴)主催の「第5回是正処置ワークショップ」に参加。主催者を含め、参加者は10人です。夕方からはさらに3人が加わりました。午前中はこれまでのワークショップ(以下WS)活動の総括を行い、午後からは本ブログ9月12日付に掲載された「家出息子の帰還」を題材にして、この記事に書かれた内容の問題点とその是正処置をみんなで考えました。

250-shigo-thumb-200x148.jpg午前の部では、参加者の1人である道友さんが、これまでの是正処置WSを総括したプレゼンを行いました。その概要は次の通りです。

このWSは、2007年11月に発足の提案がなされ、2007年12月に第1回目の会合が行われ、今回で5回目を迎えます。WSが生まれた背景には、問題を発見する力と問題を解決する力が合わさって「改善力」が生まれるはずなのに、問題発見の話はよく議論されているが、問題解決の議論はあまり巷で行われていない、という点がありました。道友さん自身も、監査技法の確立などの組織活動を通じて、問題発見の力はついたと思いましたが、改善力にはイマイチ感がありました。やはり、問題解決力をつけないと、改善力もアップしません。

では、問題解決力の技術にはどんなものがあるか。例えば、なぜなぜ解析、8D、CQI-10(AIAG)、JIS Q 9024などがあります。こういったものを比較してみると、方法論の中身にあまり大差はありません。重要なことは、中身ではなく、その性能なのです。改善力がアップしないのは、改善のステップはあっても、各ステップの信頼性が低いからです。その信頼性を高めるには、もっとトップランナーとの相互研鑽が必要です。そのために是正処置WSが生まれたのです。

このWSの目的は、是正処置の各ステップの信頼度を高めるための管理技術・支援技法の開発にあります。今後の課題として掲げているのは「監査技術+真因追究技術+力量要件」「管理技術研究」「N1深掘り事例研究」「ヒューマンエラーの研究」の4つです。

251-ws-thumb-200x120.jpg午後の部では、参加者全員が「家出息子の帰還」を読んだ上で、「その記事の中で自分が問題と思うこと」「その問題を取り上げた理由」「その問題が起きた原因」「その原因に対する再発防止処置」「再発防止処置の検証方法」の5項目を書いて、発表し、みんなで議論を行いました。

この方法を進めていくうちに、問題の設定自体が各自バラバラだったので、議論が拡散してしまいました。そこで、まず問題を特定することになりました。参加者の中に
「家出息子の帰還」の当事者が1人います。中尾優作です。では、中尾が一番問題としているのは何か? 「犬が家出してしまったこと」です。じゃあ、これを問題の出発点にして、Is/Is Not分析を行おうということになりました。

Is/Is Not分析は現状把握に威力を発揮する手法で、3W1H(What, Where, When, How Big)で平叙文と否定文を並記します。例えば、「飼い犬は室内の人間の食べ物をこれまで食べたことがあるか」に関する事実としては、Isの欄には「室内のゴミ箱に入っていた食べ物を食べたことがある」、Is notの欄には「室内のテーブルの上にあった食べ物を食べたことはない」といった記述になります。この分析では、ブログに掲載された記事内容だけでは情報不足なので、参加者が中尾にインタビューをしていろいろ事実関係を聞き出す作業を行いました。

Is/Is Not分析をある程度行った後、今度は因果仮説を立てて、なぜなぜ解析に進みました。前述したように、問題は「犬が家出をしてしまったこと」です。では、なぜ家出をしたのでしょうか? 例えば、因果仮説「中尾が怒ったから、犬が家出をした」を立てて、なぜなぜ解析を始めます。

中尾が怒ったから
→なぜ中尾は怒ったのか
フライドチキンを犬が食べたから
→なぜ犬が食べたのか
フライドチキンをテーブルに置いたままにしたから
→なぜ置いたままにしたのか
放置してはいけないと思わなかったから
→なぜ思わなかったのか
犬の習性や、犬と一緒に生活しているという認識が欠如していたから

といったように、さまざまな因果仮説からなぜなぜ解析を行った結果、次のような是正処置を導き出しました。
「犬の習性を考慮した生活ルールを定め、犬と一緒に生活しているという認識をもつこと。今後の具体策としては、1)食べ物を置いたまま目を離さない、2)すぐに叱るか、すぐに叱れないときはあきらめる(犬は問題発生時にすぐに叱らないと、なぜ叱られているのか理解できないからです。これは、飼い主に叱られたことで犬がストレスを感じて家出をしたという因果仮説に関連した対策の1つです)、3)犬の行動範囲を限る(ゲージ、リードなど)」

事実に関する情報が不足している時は、Is/Is Not分析が威力を発揮し、どのあたりの情報が漏れているかが把握できます。この分析で十分な情報を得てからは、なぜなぜ解析が効果的ですが、情報量が不十分なままなぜなぜ解析をやってしまうと、とんちんかんな方向に行ってしまう危険性があります。このことを身を持って知ることができたWSでした。

(「家出息子の帰還」に登場した息子たち)

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第4回是正処置WS

審査道無風流(家元・日吉信晴)主催の「第4回是正処置ワークショップ」に参加しました。このワークショップは8月8日午後に東京都葛飾区にある、アムシック(コンサルタント会社)の事務所で開催されたものです。

主催者を含め、参加者は7人(家元さん、師範さん、道友さん、GAIさん、ファイアードマンさん、エビデンスさん、中尾)。素人の私を除くと、半分はコンサルタントで、半分は企業のマネジメントシステム関係者です。

ワークショップは2部構成になっており、前半は事例研究、後半は「是正処置をやる人の力量」をテーマとした、ブレーン・ライティング+KJ法を使っての実習でした。

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