12月10日発売のアイソス1月号の特集で、三菱総研の野口和彦氏執筆による、13ページにわたるISO 31000(リスクマネジメント規格)の解説記事が掲載される。同規格自体は2009年11月に発行されているが、JISにならないとなかなか日本国民は感心を示してくれない。そのJISが今年9月に発行されたのを機に組んだ特集企画である。記事の内容は、規格解説(JISの要点も含む)と規格活用方法。
個人的にはリスクの定義に関心を持っている。ISO 31000ではリスクは「目的に対する不確かさの影響」と定義され、「影響」については注記があって、「影響とは、期待されていることから、よい方向及び/又は悪い方向に逸脱すること」と書いてある。一般常識では、「悪い方向」に逸脱することがリスクであることは納得できるが、「よい方向」への逸脱もリスクであることは、なかなか理解しづらい。ただ、これは2002年に発行されたISO/IEC Guide73で、すでに示されている概念だそうだ。
野口さんは記事の中で、この概念の注意すべき点を挙げている。これは、好ましいリスク(positive risk)/好ましくないリスク(negative risk)の意味ではない。好ましい結果(positive consequence)/好ましくない結果(negative consequence)というリスクの持つ可能性としての結果の概念だそうである。
恥ずかしながら2002年に示された概念を2010年の終わり頃になって、「確かに、好ましい結果をもたらしているもののリスクって盲点だなあ」と感心している私は、かなりアンポンタンである。
コメント(0)
| トラックバック(0)
「有能なISO事務局のただひとつの欠陥は、自己否定できていないことだ」
辻井浩一さんの寄稿「ISO事務局解体論」(アイソス2011年1月号の連載『サロンで議論』に掲載予定)に出てくる一文。
コメント(14)
| トラックバック(0)
11月20日、東京・無風流道場で開催された是正処置ワークショップ(WS)に参加しました。個人的に関心を持ったところのみを書きます。
某組織の総合(統合ではない)マネジメントシステムの紹介がありました。最近受けられた外部の方の参加による内部監査で、ある外部監査員から「目標管理はかなりできておられるが、現場の仕事を良くする仕組みはいまひとつ・・・」という感想が出たそうです。これと関連して、ご自身は内部監査について、「PDCAを追っかける」ことから「プロセスの診断」へという方向性を考えておられます。
某自動車関連組織の方のプレゼンでは、強烈なグローバル二者監査基準に準拠しつつ、自主的に自社の「あるべき姿」を実現していくにはどうすればいいのか、というプレゼンをされ、圧巻でした。もう少し個人的に話を聞きたくて、WS後の懇親会でじっくり話をうかがうと、「顧客の言うことだけを聞いていては、生きていけない」のだそうです。それに、顧客の言うことだけをサプライヤーが聞いていると、顧客自身も結局困ることになる。「顧客も我々(サプライヤー)の提案を求めている」とのこと。
ISO 9001の2000年版の規格作成審議で、「改善」の要求事項を入れることを強硬に主張したのは、当時のビッグスリーだったと聞いています。それが、私には不思議でした。顧客にとっては、自社の要求をきちんと守るように要求するQA規格だけで十分ではないかと。そのためにQS-9000やTS 16949を作ったのだろう。なのに、なんでISO 9001の世界に口を出してきて、「改善」を導入させ、それを後でTS 16949に内包させたのか。QAに内蔵されたQMSの意図は何なのか? WS後の懇親会で芋焼酎を飲みながら「ああ、そういうことか! 顧客の言うことを聞くだけのサプライヤーでは、結局、顧客自身も困ることになるからなんだ」と(今頃!)一人合点をした次第。
次のプレゼンは、お悩み相談。内部監査を控えた某企業の管理責任者の方が、ベテランの内部監査員を使う予定にしていたところ、その方々が定年を過ぎて継続雇用された社員だったので、社長が「あいつを内部監査に使うのはどうも」と渋っているという話。その会社では、これからもベテランの内部監査員が定年を迎えるので、これは大変な問題。一筋縄ではいかない問題だし、そのほかにもこの会社はたくさん問題を抱えていそうなので、一度、某氏が相談に行くことになるかも。
最後は、ある業界団体のQMS研究会での会合の話。ここでは、どうも10年間くらい時間が止まっていたかのような議論が行われているようです。どのような問題が、いつの時代に議論され、どのような結論が出ているかというような時系列な整理もしておく必要があるなあ、と思いました。
コメント(4)
| トラックバック(0)
審査機関の審査員には、プロパーの審査員(一般企業の正社員に相当)と契約審査員(契約社員等に相当)がいて、全審査機関の契約審査員比率は6割を越えていると思われます(アイソス2010年12月号掲載の認証機関アンケート調査結果による)。雇用している審査員はすべて契約審査員という審査機関もけっこうあります。そんな中、審査員はすべてプロパーという審査機関のトップに、昨日会ってきました。
老舗の審査機関で、JABが立ち上がる前から審査業務を始めておられます。審査員は100名ほどいます。それがすべてプロパーというのは、実は審査機関のビジネスモデルとしてはすごいことなのです。一般企業の正社員と同じですから、社会保険や年金、昇給、賞与等の待遇もありますし、担当する審査工数に関わりなく決まった給与が支払われます(契約審査員の場合は、担当した審査工数に見合った給与が支払われます)。名だたる審査機関でも、契約審査員へ支払われる審査料がどんどん低減している現状の中で、審査員にこういう処遇ができる審査機関というのは、実に珍しいことです。
現状では、プロパーの審査員だけで経営的に成り立たせることに、どの審査機関もあきらめているところがあります。そんなこと、できるわけないじゃないか、と。そこで、その機関のトップの方に聞いてみたのです。「どうして、そんなことができるのですか?」と。
「間接経費が非常に少ないからでしょう。事務の女性が数名いるだけで、あとは男性2人が審査をしない管理職としていますが、そのほかの職員はすべて審査員です。私も、週1回は審査に出ます。それと、うちの会社には営業部隊がないのです。新規のお客さんが来るのは、ほとんど口コミです」とのこと。
この会社は、審査員教員もユニークです。登録を認めるかどうかを決定する判定委員会(登録委員会)では、審査レポートの内容を当該審査を担当した審査員全員が出席してプレゼンし、それを判定委員が質疑応答を通じて「審査」し、最終的に合否が出されるわけですが、その会場には、 審査員全員(つまり100人)がオブサーバーとして参加するそうです。この判定委員会で「審査される側」を審査員みんなで体験することは、確かにいい審査員教育になるような気がします。
もちろん、ここでは「プロパー審査員が契約審査員よりも良い」と言っているのではありません。実際、「審査内容で上位を占めているのは、うちの場合、プロパー審査員ではなくて契約審査員です」と言う審査機関のトップもおられます。ただ、一般常識では無理だとされているけれども、間接経費を削れば、プロパー審査員だけで審査ビジネスを成り立たせることも可能であるということです。ちなみに、この機関は株式会社です。
コメント(4)
| トラックバック(0)